ふたむら内科クリニック

多項目同時PCR検査(BioFire SpotFire Rパネル)導入から3週間、25件の検査を実施しました!!(特にマイコプラズマ診断での有用性)🍒

さくらんぼ通信

多項目同時PCR検査(BioFire SpotFire Rパネル)導入から3週間、25件の検査を実施しました!!(特にマイコプラズマ診断での有用性)

この3週間、18歳以下のこども医療対象の方、強い咳嗽症状が続いている方、他院の検査で発熱の原因がわからない方などを対象に、25件の検査を実施しました。
25名中で、病原体を検出した方が16名おられました。複数の病原体を検出した方が4名おられましたので、検出した病原体の内訳は、

ヒトライノ/エンテロウイルス 7名
ヒトメタニューモウイルス 6名
マイコプラズマ・ニューモニエ 3名
インフルエンザA 1名
インフルエンザA(H1-2009) 1名
新型コロナウイルス 1名
RSウイルス 1名

インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のほかに、ヒトメタニューモ、RSのような小さいお子さんが感染すると重症化に注意しなければならないウイルスに、成人でも感染していることが多いことがわかりました。これらのウイルスは高齢者も重症化に注意しなければならない感染症です。患者さんには症状が重くなる可能性についての注意喚起をすることができました。
また、3名の方でマイコプラズマ感染症についての確定診断ができたことは、その後の治療方針を決めるのにとても有用でした。

現在流行期間に入っているマイコプラズマに関しては、既に抗原検査の迅速診断キットがありますが、精度の点では十分とは言えず、遺伝子検査のLAMP法は結果が出るのに時間がかかる点が難点でした。採血して抗体を調べる方法はさらに時間がかかり、最近は試薬の供給が不足して検査の発注ができない状況となっています。
BioFire SpotFire RパネルによるPCR法による検査は、検査開始から15分で迅速に結果が得られ、その精度は陽性一致率100%、陰性一致率98.9%と極めて高精度です。
ビオメリュー社 資料参照

導入から3週間を過ぎて

実際に今回診断した3名の方は、速やかに適切な抗生剤による治療を開始することができました。うち1名の方は、発熱症状だけで咳嗽は全くみられず、症状からはマイコプラズマ感染症を疑うことは困難でした。
わずか3週間の間でしたが、多項目同時PCR検査(BioFire SpotFire Rパネル)は、発熱や咳嗽などの呼吸器症状の患者さんの診断に、極めて有用で有力な検査であることを実感できました。

尚、全ての患者さんにこの検査を実施することは、現在のところ難しいので、今後も適切な患者さんへの適応を熟慮しながら、当院の発熱・呼吸器疾患の診療に役立てていきたいと思います。

さくらんぼ通信 第 13 号

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