百日咳が流行しています! 当院では多項目同時PCR検査(BioFire SpotFire Rパネル)で即時診断ができます!!🍒

百日咳が流行しています!
当院では多項目同時PCR検査(BioFire SpotFire Rパネル)で即時診断ができます!!

今年の春は、百日咳の流行が報じられています。報道によると、2025年4月現在、累計感染者数は7,084人に達し、すでに24年の年間報告数である4,054人を上回っているとのことです。
しかもこれまで感染の中心だった0~4歳の乳幼児は10%以下と少なく、約60%が10~19歳、ついで約21.0%が5~9歳を占めています。
当院ではこの4月から現在(5月22日)までに、中学生を中心に6人の百日咳患者さんを、多項目同時PCR検査(BioFire SpotFire Rパネル)にて診断しています。
多項目同時PCR検査(BioFire SpotFire Rパネル)を導入いたしました!15分で、1回の検査で15種類の病原体の検査が実施可能となります!!🍒
多項目同時PCR検査(BioFire SpotFire Rパネル)導入から3週間、25件の検査を実施しました!!(特にマイコプラズマ診断での有用性)🍒
百日咳の症状は、以下の3期に分けられ、全経過で約2~3カ月で回復するとされています。
1.カタル期(約2週間持続):
かぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなります。
2.痙咳(けいがい)期(カタル期の後に約2〜3週間持続):
次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙)となります。年齢が小さいほど症状は多様で、乳児期早期では無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。
&合併症としては肺炎や脳症などもあり特に乳児では注意が必要です。
3.回復期:
激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなります。成人の百日咳では咳が長期にわたって持続しますが、典型的な発作性の咳を示すことはなく、やがて回復に向かいます。全経過で約2〜3カ月で回復します。
治療について

治療としては、生後6カ月以上は、抗菌薬による治療が検討されます。また、咳が激しい場合には咳止め等の対症療法が行われることがあります。
抗菌薬治療は、発症早期に始めないと有効性が低いとされます。従って風邪と区別がつかないようなカタル期に診断することがとても重要になります。
ただし百日咳の精密な診断は、上記の診断フローチャートに示されています。
血液検査での診断は、時間もかかり、確定診断に至らないことも少なくありません。菌の培養や核酸増幅検査(LAMPまたはPCR)で証明されれば確実ですが、外注検査では結果がでるまでに時間がかかります。
また、いまのような流行期には、LAMP法や採血検査が多数依頼されて、試薬不足から検査の実施が制限されてしまうことも少なくありません。
早期に診断し、適切な抗菌薬治療を早期に開始することが大切な百日咳です。
自院の検査で迅速に(15分程度)診断が可能な多項目同時PCR検査(BioFire SpotFire Rパネル)は、百日咳の診療に極めて有用です。
当院で診断させていただいた患者さんも、多くの方はカタル期と考えられる時期に診断ができ、抗菌薬治療を開始できました。
長引く咳などで心配をされて検査をご希望の方は、発熱・感染症外来の予約時にスタッフにお申し出いただけたらと思います。
※「咳嗽喀痰の診療ガイドライン2019」(日本呼吸器病学会)より。
さくらんぼ通信 第 17 号