花粉症が始まっています!初期治療の重要性と“インバースアゴニスト”について🍒
花粉症が始まっています!
初期治療の重要性と“インバースアゴニスト”について
「先生、そろそろ花粉症の薬だしてもらえない?」
「去年だした薬で大丈夫ですか?」
「うん、お願いします!」
先週あたりから、このようなやり取りが、診察室では始まっています。花粉症の治療は、本格的な症状が出る前から、わずかな症状であってもできるだけ早くから薬を飲み始めて、症状の立ち上がりを抑える治療です。
この初期治療に向いている薬が、抗ヒスタミン剤のなかでも、“インバースアゴニスト”の性質をもったもので、現在、花粉症の治療薬として使われる第2世代の抗ヒスタミン剤は、ほぼ全てインバースアゴニストです。
少し難しい言葉ですが、できるだけわかりやすく説明します。花粉症の鼻汁などの症状は、ヒスタミンという物質が、H1受容体というアレルギー症状を引き起こすスイッチに作用することにより起こります。このスイッチをブロック(邪魔)して、ヒスタミンの働きをおこさないようにするのが抗ヒスタミン剤です。
H1受容体の状態
H1受容体には3つの状態があります。
| 状態 | 説明 |
|---|---|
| アゴニスト状態 | ヒスタミンが結合 → 受容体が活性化 |
| ニュートラル状態 | 何も結合していない中間状態 |
| インバース状態 | 活性が下がった「静かな」状態 |
受容体は、何も結合していなくても わずかに自動的に活動(基礎活性) しています。
抗ヒスタミン剤は、このH1受容体に対する作用の違いから、次の2つに分類されます。
ニュートラルアンタゴニスト(ほとんどの第1世代抗ヒスタミン剤)
・ヒスタミンが結合するのをブロック
・しかし受容体の基礎活性はそのまま
つまり、「ヒスタミンが来たときだけ防ぐ」という働き。
インバースアゴニスト(ほぼ全ての第2世代抗ヒスタミン剤)
・ヒスタミンの結合をブロック
・さらに受容体を「静かな状態(インバース状態)」に押し下げる
・基礎活性そのものを低下させる
つまり、「ヒスタミンが来る前から受容体を静かにしておく」という働き。
初期治療とインバースアゴニストの関係
花粉症の初期治療で抗ヒスタミン薬が有効なのは、インバースアゴニスト(ほとんど全ての第2世代抗ヒスタミン剤が該当)が受容体の基礎活性を下げておけるから。
その結果:
・花粉が飛び始めても症状が立ち上がりにくい
・鼻粘膜の炎症が進みにくい
・症状が軽く済む
・薬の効きが良い状態を維持できる
つまり、「症状が出てから飲む」より「出る前から飲む」ほうが圧倒的に有利ということです。
まとめると、
| 作用 | ニュートラルアンタゴニスト(ほとんどの第1世代抗ヒスタミン剤) | インバースアゴニスト(ほぼ全ての第2世代抗ヒスタミン剤) |
|---|---|---|
| ヒスタミンの作用をブロック | する | する |
| 受容体の基礎活性を下げる | しない | しない |
| 初期治療との相性 | △ | ◎ |
となります。
また、第1世代抗ヒスタミン剤は、口の渇きや眠気といった副作用も強く、長期間の服用には向きません。それに対して、第2世代抗ヒスタミン剤は、そのような副作用が弱いかほとんどないものが多く、花粉症のように長期にわたっての服用に適しています。
当院では、インバースアゴニスト作用をもつ第2世代抗ヒスタミン剤による花粉症の初期治療に積極的に取り組んでいます。かかりつけの患者さんはもちろんのこと、当院に受診が初めての方も、花粉症でお悩みの方は、お気軽に、そしてできるだけ早めに受診をお勧めいたします!!
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さくらんぼ通信 第 20 号
